民泊新法施行に期待や不満 


ヤミ排除、競争平等化を 宿泊団体・地域

過度な規制見直し要望 民泊業者

 住宅宿泊事業法(民泊新法)が15日に施行された。民泊事業者の届け出提出件数が全国で3728件(受理済み2210件)、区域・期間制限や行為規制などの条例制定が52自治体という状況下でスタート。施行日の前後には、規制の在り方、違法民泊対策などをめぐってさまざまな動きや発言があった。

民泊関連事業者

 住宅宿泊事業者の団体、住宅宿泊管理業者を含む不動産の賃貸管理業団体などで構成する実行委員会は、15日に東京都内で「住宅宿泊事業法施行を祝う会」を開いた。決議を採択し、民泊の発展への法制度の見直し、地方自治体の過度な規制の見直しを盛り込んだ。

 祝う会で全国賃貸管理ビジネス協会の高橋誠一会長は「民泊は届け出をすれば、すぐにできるという触れ込みだったと思うが、実際には手続きに時間がかかってすぐに許可が出ない。さらに地方の規制がある。京都の60日では商売にならない。東京も平日は駄目などの条例があり、規制がおかしい」と訴えた。

 全国民泊同業組合連合会の沼田美穂会長も「全国で条例の上乗せによる厳しい追加規制がある。われわれ事業者からすると、法の趣旨に反すると思われるものもあり、国が条例の適正化に対応してほしい」と述べた。

政府

 新法施行を踏まえて石井啓一国土交通相は15日の会見で、今後も届け出は継続して増加するとの見通しを示した上で、「民泊サービスの提供に当たっては、旅館業法に基づく簡易宿所の営業許可や特区民泊の認定によることも可能。合法な民泊を増大させることが可能となるよう、円滑な届け出の促進に取り組んでいきたい」。また、届け出手続きが煩雑との一部の指摘には、「極端に複雑なものだとは思っていない」と述べた。

 条例制定による民泊の制限については、観光庁の田村明比古長官が20日の専門紙向け会見で、「法の趣旨に照らして少し厳しすぎるのではないかというものもいくつかある。住民の懸念、不安が強い中、行政として慎重に対応したところもある。優良な民泊サービスの事例を増やし、一般の方の理解を深めていく努力が今後の規制緩和には必要となる」との考えを示した。

宿泊団体、地域

 違法民泊対策や生活環境の悪化防止に向けた条例制定の必要性を訴えてきた宿泊業団体。6月にそれぞれ開催された総会、大会では団体のトップから、新法、条例の適切な施行、違法民泊の取り締まり強化を求める意見が相次いだ。

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の全国大会で多田計介会長は「法律が適正に運用されるよう、これからも活動を進める」として違法民泊の排除に向けた取り組みを今後も進める方針を示した。大会決議には、「地域の安心と安全を守るため違法民泊事業者を排除しよう」を盛り込んだ。

 日本旅館協会の通常総会では、役員改選で選出された北原茂樹会長が「民泊制度に対しては、旅館・ホテル業との規制の公平、公正を要望してきた。また、消費者の安全、地域のコミュニティに根差した良識が宿泊業には大事」と述べ、ビジネス環境の平等化、地域の生活環境との調和の重要性などを訴えた。

 違法民泊の排除に取り組む京都市は、15日時点で民泊仲介サイト「エアビーアンドビー」などに市内の民泊物件として、市が監視、指導を行ってきた無許可、無届け出の物件が掲載されているとして観光庁に指導を要請。要請文書で門川大作市長は「法治国家の日本において、このような事態がまかりとおることは許されない」と訴えた。25日には、京都市「民泊」対策等連絡協議会を設置し、京都府警と連携した新たな違法民泊対策に乗り出した。  


 
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